女性医師

病院での問診や検査の結果、大多数の方が変形性ひざ関節症と診断されますが程度もさまざまです。ここでは程度の度合いに合わせて病状を3段階に分けています。

この点は医師の判断や表現の方法によっても若干異なります。具体的に治療に関しては医師の判断を仰ぎつつ、一つの参考として捉えてください。

初期-痛みやこわばりが特徴

初期段階では膝の痛みやこわばりを感じるものの時間が経つと自然と痛みが無くなっているのに気が付きます。しかし関節や半月板の損傷は確実に進んでいます。

レントゲンの画像も関節の間がさほど狭まっていない状態です。もしこの時点で来院することができたならば運動療法が一番効果の上がる段階だといえるでしょう。

痛みがあるならば湿布やクリーム、投薬をします。しかし薬はあくまでの対処療法なので、運動療法をメインとして行ってゆきます。医師による生活上の注意点や指導を受けつつ様子を見ます。

運動療法をきちんと行ってゆけば、一生の間初期の段階で過ごすことも可能です。時おり通院は必要になりますが医師による指導程度で済みます。

中期-関節の変形などが顕著に見られる

この段階ではレントゲン検査によって関節の隙間が少なくなっていることが確認されます。痛みの程度も初期よりも強く断続的であることが少なくありません。

関節水症(膝に水が溜まる)や炎症を起こすことも少なくありません。多くの方が中期の症状になってから初めて来院されて膝関節症であることに気付かされるようです。

まずは既に出ている症状の対処から始まります。投薬や湿布やクリームで炎症や痛みを抑えてゆきます。場合によっては膝の水を抜いてからヒアルロン酸の注入を行なうこともあります。

傷ついた関節や半月板は元に戻ることはないので、痛みを抑えながら筋力を付けて症状が進行しないようにするかがポイントです。

医師の判断にもよりますが必要に応じて足底板やサポーター、ブレース(金属の入ったサポーターよりも大きいもの)を使います。日常生活に支障が出ているならば杖も積極活用します。

※症状が進行すると手術の検討が必要になります。

末期-手術が必要になる程度の状況

この段階では既に関節症がかなり進んだ段階で痛みや拘縮(膝が動かくなっていく)が顕著に見られます。そのため生活の活動範囲も大幅に制限された状態になります。

レントゲン撮影による関節内の隙間はかなり減っており、骨棘や骨堤が形成されていることも少なくありません。同時に関節水症や炎症が見られます。

まずは投薬などで痛みの軽減を図りつつ運動療法を行います。ちなみに運動療法は変形性ひざ関節症のどの段階でも有効な治療法です。状況に応じて装具なども活用します。

一定期間が経過した後に症状が緩和されず、なおかつ生活に大きな制限があるような状況の時には手術を検討します。患者さんの年齢や治療目的、膝関節の状況に応じて手術を選択します。

どの段階 でも運動療法は効果がある方法です。仮に症状がかなり進んでしまった場合でもあきらめることなくトレーニングを続けてゆけば筋肉を強化することができるので膝にとってはプラスになります。