運動する夫婦

一般的に言って「膝を治す」というのは患者さんが目標とする程度まで膝の機能を回復させることを指します。治すとひとえに言っても若い頃の状態に完全に戻るという訳ではありません。

例えば骨折をして「治った」と言うのは大抵の場合、骨がきちんとつながって痛みもなくなり骨折前の状態に戻ることを指します。

しかし膝関節の場合は半月板であれ関節軟骨であれ元の状態に戻ることはないので、痛みを抑えながら患者さんが必要としているレベルまで機能を回復させることを指します。

人によって異なる目標設定とその種類

軽いスポーツ ができるようになりたいという方もおられます。例えば以前していたゴルフで1ラウンド回るのがきつくなった方が再びできるようになりたいと言った風にです。

中高年の方であれば山歩きが趣味という方も少なくありません。再び泊まりがけで出かけられる程に回復したいという願いがあるかもしれません。

患者さんの膝の状況はケース・バイ・ケースなので医師との話し合いの上で希望する目標を元に運動療法を始めるか、目標を少し調整するか決めます。

変形性ひざ関節症が軽度の方の状況です。

買い物 に出かけられるようになりたい。こちらのパターンの方は別にスポーツをする訳ではありませんが、日常生活を不自由なく送りたい方です。

最近ひざが痛くて杖を使う機会が増えたので、できるだけ杖に頼らない生活をしたい方もこの中に含まれます。初期から中程度の範囲ですが運動療法は効果の上がる方法です。

とにかく痛い ので何とかしたい。

こちらのタイプの方は既に関節症が重度まで進行している方もいらっしゃると思います。痛みの根本原因を取り去るためにも手術が必要になることが少なくありません。

手術をした後も継続的な運動療法で機能を維持する必要があります。

明確な目標がある方が治療に取り組みやすい

現在の症状の程度がどうであれ明確な目標があった方が治療に取り組みやすいのは確かです。

変形性ひざ関節症の場合は単に薬を飲んだり注射をするだけでなく「運動療法」と言った主体性を求められる点が大きな部分を占めているからです。

目標があるからこそ努力も継続できるのであり単調に思える運動も行えるのです。それで「膝の痛みを治す」上での目標は何かをじっくり考えられることをおすすめします。