膝の痛みを治すための運動療法を行なう上で筋力トレーニングは効果の上がりやすい方法の一つです。まずは概要を簡単に考えたいと思います。

→ 簡単なトレーニングの方法はページの下部をご覧ください。

目的は機能を活性化すること

筋トレの目的はあくまでも膝と周辺機能を活性化することにあります。

筋肉は一昼夜で付くものではありません。そして多くの場合、今まで生活の中で筋トレをしていない方がほとんどなので最初はウオーミングアップのつもりで行います。

ストレッチも同時に行いつつ筋肉や周辺の筋が活性化されてきたら筋肉を付けるつもりでトレーニングを進めてゆきます。

筋肉は長期にわたって付いてゆくものなので、目に見えた変化がなくてもがっかりする必要はありません。定期的に真面目に行っていれば遅くても一ヶ月ほどで痛みが軽減されてゆくのに気が付くでしょう。

主に大腿四頭筋を鍛える目的で行なう

筋トレの目的は主に大腿四頭筋を鍛えることに集中します。大腿四頭筋というのはいわゆる「ももの筋肉」で膝の上にある大きな筋肉です。

この筋肉を鍛えると膝の安定性が増すので関節に不必要な負担がかからなくなり痛みが軽減される仕組みになっています。筋肉がムキムキになる必要は特にありません。

痛みをできるだけ感じずに歩いたり生活できる程度まで筋肉を付けて維持できれば広い意味で「治った」とも言うことができます。

膝が痛むのに筋トレは大丈夫なのか?

と多くの方は感じるかもしれません。もちろん強い痛みや炎症、腫れがあるときには筋トレはできませんが、痛いからといって何もしないでは膝の痛みは治りません。

もちろんどの程度のトレーニングをするかは医師との相談の上で行いますが「痛むからこそ」筋トレを行なうという考え方が正解です。

■ 簡単なトレーニング法を紹介

椅子に座った状態で筋トレ
上のイラストはごく簡単な椅子ですが背もたれがある椅子がおすすめです。肘掛けがあるとなおベターです。腰や背中などの他の部分に負担をかけずに行えるからです。

片側の足を上げて7~10秒間キープします。この時に息は止めずにできるだけリラックスした状態で行います。体が硬いようであれば無理をして足を高く上げる必要もありません。

この時に上げていない足は床に踏ん張るような意識で行なうと力を集中できます。足首は真っ直ぐでも曲げていなくてもOKです。

これを片足ずつ20セット行います。最初はキツイかも知れませんが2週間もすると徐々に効果を実感できるようになります。

下肢全体の筋トレ

こちらは床に仰向けになった状態で行なうトレーニングです。足全体と腹筋を同時に鍛えることができる方法です。

上げない方の足は曲げておき、軽く床に踏ん張るような感覚で行います。鍛える方の足を10センチほど持ち上げます。この際に足はあまり高く上げる必要はありません。

足を上げた状態を7~10秒間キープして20セット行います。終わったらもう片方の足も行います。痛い方の足だけでなく状態の良い側も行なうのはバランスよく筋力をつける必要があるからです。

横を向いた状態での筋トレ

イラストはやや大雑把な感じですが、横向きに寝て下の足は曲げた状態にして少し前に出します。それから膝を伸ばした状態で少し後ろに上げるような意識で7~10秒間上げます。

この際に枕を使って横になると首に余分な負担を掛けずに済みます。

上記の方法はあくまでも一例です。患者さんの個々の状態は異なりますので、医師の指導のもとに行われることをおすすめします。