変形性ひざ関節症が重度の症状になり薬物治療や運動療法を中心にある程度の期間行っても改善が見られず、なおかつ生活に大きな支障を及ぼしている場合には人工関節の手術を検討します。

高位脛骨骨切り術関節鏡を使った手術とは違って既に関節そのものが改善の見られない段階まで及んだ時に行なうので最終手段とも言えますが、患者さんの痛みは劇的な改善を見ることができます。

65歳以上の人が手術対象の理由とは?

膝痛に悩む女性

現在の日本では人工関節の手術は65歳以上に行われています。理由は人工関節の耐用年数が20年程であるからです。

人工関節もやはり消耗品なのである程度の年月を使用すると取り替えが必要になってきます。その際の再手術は最初行った手術よりも難易度が高いので平均寿命を勘案して目安を65歳以上としているようです。

人工関節の手術の方法について

人工関節
【人工関節の模型】

手術を行う前に十分にコンディションを整えます。骨を切って人工物を固定させるので重度の糖尿病のある方や化膿性関節炎のある方は手術の適応外になりますので注意が必要です。(詳しくは担当医にご確認ください)

人工関節の設置に伴い注意が必要なのが感染症のリスクです。化膿の可能性があるもの(例えば虫歯など)がある場合には事前に治療を済ませてから手術に臨むのが必須事項です。

手術は約1~2時間ほどで行われます。膝の前面を15センチほど切ってから既に症状が進んでいる部分を切除します。それから大腿骨・脛骨を削って人工関節を取り付けて固定します。

手術後と生活上の注意点

先ほども触れましたが注意が必要なのは感染症です。体に異物が入るので感染症のリスクがありますが、膝そのものに原因がなくても他の場所から血流に乗って感染することもあります。

特に手術後の膝の炎症や発熱には注意です。

手術後にも膝が痛むのであれば骨と人工関節の接合が不十分である可能性が高いです。骨が弱かったりして十分に癒合しないと接合部が緩んで痛みが生じます。

生活上、特に注意したい点

人工関節の手術によって膝の痛みは無くなりますが膝の可動域は制限されるので注意が必要です。正座ができなくなるので椅子中心の生活の方が膝に負担がかかりづらいです。

特に転倒しないよう気を付けなくてはなりません。転倒して膝をひねったり必要以上の範囲で動かしてしまうと人工関節に負担がかかります。

また種類によっては簡単なスポーツも可能ですがやり過ぎないようにしましょう。立ち座りの姿勢や階段の昇り降りも差し支えありませんが、過ぎると負担がかかります。

人工関節に無理な負担がかからないようにすれば耐用年数も伸びます。そのためにも筋トレは欠かせませんので、手術後も引き続き生活の一部に筋トレも組み入れましょう。