虫歯は歯の噛みあわせの部分にだけなると思っていませんか?
実は歯の根元辺りから虫歯が始まることもあるのです。特にこの症状は中高年者の方が多いと言われており、一度虫歯になると侵食が速いこともあるので注意が必要です。
『根面う蝕』と呼ばれるタイプの虫歯はどうやって予防することができるのでしょうか。
まずは原因を考えてみましょう。
根面う蝕の原因は歯茎の後退による
歯の根元あたりにできる虫歯を根面う蝕と呼びます。
なぜこの部分に虫歯ができるのかというと、人は年齢とともに徐々に歯茎が後退してゆく傾向にあります。「あれ、歯が長くなったのかな?」と感じるあれですね。
もちろん歯が長くなることはなく、歯茎が後退したことによって根面がむき出しになっただけなのです。根面が出る理由は年齢的なものに加えて不適切なブラッシングにあります。歯ブラシを握るように持つと余分な力が入り過ぎるので、長年の習慣により少しずつ歯茎が削れることがあります。
虫歯を除去しようと熱心になるあまり、ゴシゴシと強く磨いてしまうと歯茎が傷ついてすり減ってゆくのです。むき出しになった根面は再石灰化するこはないので、虫歯になりやすく、なおかつ進行しやすいのです。
別の要因として注意したいのが歯周病による影響です。歯周病が進行してゆくと歯茎も下がってゆくので、根面う蝕になりやすいです。
その他にも、差し歯(義歯を被せた部分)を作った時点では歯と歯茎の隙間はなかったものの、時間の経過とともに歯茎が後退することがあります。義歯と歯茎の隙間はブラッシングしづらい部分でもあるので根面う蝕になりやすい部分です。
歯の表面部分はエナメル質で覆われているので、ある程度虫歯をブロックする作用があります。しかし歯茎が後退した部分(歯根)はセメント質でできており、再石灰化もしないので虫歯になりやすいのです。
根面う蝕の特徴として、むき出しになった根面をぐるりと周回するように虫歯ができて進行すると、歯が折れてしまうこともあります。
次に治療法を見てみましょう。
根面う蝕の治療法
治療法としては、虫歯になった部分を削ってからレジン充填を行うことになります。しかし埋めたとしても再びう触する可能性もありますし、周囲もすでに根面う蝕が始まっていると進行も速いので時間の問題と言う話もあります。
削ってしまうか、あるいはそれ以上の進行を食い止める方法(フッ素の使用やプラークコントロール)を採用するかは医師との話し合いによる決定になるでしょう。
歯茎の後退は一箇所ではなく、周辺も同様の症状が見られるはずです。全体の状態を観察しつつ、治療法を判断する必要があります。
根面う蝕の予防法-基本的には普通の虫歯と同じ
根面う蝕も一種の虫歯なので、基本的にはケアの方法は同じです。
まず第一に飲食に気をつけることです。砂糖が多く含まれている物は虫歯の原因になりやすいです。食べても良いのですが、食後に少量、歯磨きは欠かせません。スポーツドリンクも歯には悪いので、飲んだ後は口をゆすぐようにしましょう。
虫歯になりやすい人の大きな特徴は歯磨きの習慣に問題があることが少なくありません。歯科医の指導を受けつつ、ブラッシングをはじめとするプラークコントロールをしっかりすることです。特に根面がむき出しになっている部分のブラッシングや歯間ケアも忘れないようにしましょう。
予防の面で通常のケアに加えて勧められているのはフッ素の使用です。基本ケアはもちろん欠かせないですが、フッ素は虫歯予防に効果的な手段の一つです。
歯茎が後退代すると普通以上の口腔ケアが必要になります。もし症状が見られるならば、速やかに歯科医を受診しつつ、日頃の口腔ケア全体を見直しましょう。