変形性ひざ関節症の多くはひざ関節の内側の空間が徐々に狭まってきて変形してゆきます。日本人の場合は多くがこのタイプでO脚になります。

手術の適用は症状の程度が初期から中期でひざの関節の外側が健康な状態に限られます。手術の原理は簡単に言うと脛骨を切って関節内の傾きを治すものです。

メリットは手術後も引き続き自分の関節を使うことができるので感覚を保つことができ、運動量を自分で調節しながら予後を送ることができる点です。

【右膝の正面からの断面図】
右膝の正面からの断面図

膝関節の下の骨(脛骨)のどちら側を切るかによって方法が異なります。

クローズドウェッジ法

くさび状外反骨切り術とも言い、脛骨の上の部分を外側からくさび状に切ることで内側にかかっていた体重の負担を減らします。この部分は代謝が活発なので元に戻りやすいという特徴があります。

さらに詳しく説明すると、脚はひざを中心に大腿骨/脛骨で一本の線をなしていますが、膝を中心とした線の角度が170°程度になるよう調整します。

この際に切った脛骨の一部を押しつぶすことで手術後に骨が接合するのを早める効果がああります。骨を切るので脛骨の縮まった部分については腓骨も切り取ります。

高位脛骨骨切り術

角度を調整したら骨を切った部分にプレートを入れて骨を固定します。手術自体は2時間前後で行い入院期間は6~8週間です。手術してから1年後に固定していたプレートを取り出す手術をします。

取り出すので手術は必要ですが、前回行ったような大掛かりなものにはなりませんので数日の入院程度で済ませることができます。

オープンウェッジ法

手術の原理はクローズドウェッジ法とは反対で、脛骨の内側部分を切り取りその部分に人工骨/他の部分からの骨を充填してプレートで固定する方法です。

膝の関節の内側が狭まっていた部分を広げることができます。脛骨に人工骨を入れるため術前よりも脚が少し長くなります。

オープンウェッジ法の特徴は痛みの治まりはクローズドウェッジ法よりも早いため元の生活に回復する時間の点でメリットがあります。しかし手術の対象は膝の変形によるO脚が軽い人になります。

手術時間は1時間程度で入院期間は4週間、4ヶ月程で歩けるようにもなるのでクローズドウェッジ法よりも早い回復が見込まれます。

メリットと注意点

人工関節とは異なり自分のひざ関節を温存したままでの手術なので予後の回復度合いが異なります。人によっては程度が異なりますが、体を使った仕事やスポーツができるまでになります。

骨を切って癒合させる方法なので入院期間(6~8週間)と日常生活への復帰(退院後2~4ヶ月)にかかる時間が長いのも特徴です。手術の目的はひざの機能回復を目的とすることなので、入院中も退院後も継続的なリハビリが必要になります。

注意したい点が手術による合併症です。骨などの存在する脂肪が手術によって拡散し、血管から肺動脈に詰まってしまい肺塞栓症を起こすこともあり命に関わります。

なりやすい体質なのかどうかという点は、事前に検査を行い確認します。他にも癒合不全といって骨が十分につかないこともあり得ますが電気刺激を使って癒合を促進します。