残業が多くて仕事にストレスを感じる

ストレスが引き金となって大きな病気になる人は少なくありません。しかし細かく分類するとストレス=病気ではなく、心身のストレスが身体の免疫力を引き下げ疾患を引き起こすのです。

もちろん人によってストレス耐性は異なりますし、ある条件下で同様のストレスを受けたとしても人によって出てくる反応の程度は異なります。人にはそれぞれストレス耐性の閾値(いきち)があり、その一線を超えてしまうと病気になってしまうようです。

それで、自分の限界を超えてしまいそうになるようなストレスは意識して避ける必要があります。どのような種類のストレスが免疫低下につながるのでしょうか。実際に私の周囲で起きたケースを事例として挙げてみます。

仕事上の大きな変化はストレスになる

私の友人のケースです。

学生時代はスポーツ系の部活に入っており、体力も十分に自信がある人でした。責任感が強くてリーダーシップを進んで取りたがるタイプです。大企業に入社して仕事に夢中になり、連日徹夜で仕事をするような「仕事の虫」になっていました。

ある時、自分の生活を大きく見直したいと願い、仕事を辞めることにしました。退職前には引き継ぎなどの大きな変化があったようで、結果自分では耐えきれないストレスを抱えてしまいギランバレー症候群という難病にかかってしまいました。

別のケースとしては身近な対人関係が大きなストレスとなったケースです。

こちらの方は夫婦間で重大な問題を抱えており、自分の力では今すぐに解決することのできない不条理な問題やが続いたようです。家庭内における難しい問題が生じた時に裁判沙汰になったのですが、弁護士を立てずに自分で全て調べて処理を行いました。しかしこの後にがんが見つかり、治療に多大の時間とエネルギーをかけざるを得なくなりました。

もちろんストレスと重大な疾患の関係を全て医学的に説明するには時間を待たなくてはなりません。しかし共通点として言えるのは、自分の限界を超えるようなストレスにさらされると免疫力は往々にして低下するということです。

どのように対処すればよいのでしょうか?

限界を超える前に逃げ道を設ける必要性

仕事にしても対人関係にしても、自分の限界を超える前に何らかの策を講じなくてはなりません。

仕事であれば他の人の助けを遠慮なく借りることが実際的な手段です。何気なく引き受けてしまった仕事が、実は自分が処理する必要のない場合が往々にしてあります。責任の所在を見極めて、自分でなくても良ければ手の開いている人に応援を求めるべきです。

あるいは仕事量があまりにも多くて、限界に来ていると感じたならば、上司にギブアップ宣言をする必要もあります。その場は気持ち的に申し訳ないかもしれませんが、仕事は必ずといってよいほど代わりの人がいます。

しかし自分の身体は一つだけなので、体調を崩すと元通りにするのは困難です。仕事は幾らでも代わりがいますが、自分自身は一人のみです。ぜひ長期的な視野で自分をマネージメントしてみる必要があるでしょう。

対人関係における大きなストレスの解決策は自分よりも力(能力、権限)のある人に頼ることです。それは家族かも知れませんし、場合によっては警察や弁護士などの専門職かも知れません。

いずれにしても自分では抱えきれない物を処理しようとしている時点でそれは「重荷」なのです。解決するに際して時間や手間や金銭はかかるかもしれませんが、自分の健康にはかえられません。

◆ストレス耐性の許容値を見極める賢さも必要
先に挙げた二人の方の例をとってみても分かるように、誰も好きで大きなストレスを抱えて病気になるわけではありません。自分では知らず知らずのうちにストレスを抱えてしまい、ある時に一線を超えた時に病気を抱えてしまうのです。

それで継続的なストレスを抱えそうな状況の時には、自分がどこまでできるか見極めるとともに「安全範囲」のうちにとどめておく必要があります。

ある程度人生経験を積むと、累積疲労により感情が上手にコントロールできなくなると限界に近づいてきている、と言うのが分かるようになります。(目安の程度は人それぞれです)

今の状況が自分にどんな影響を与えているのか見極めるとともに、早めに逃げ道を作っておくことで、極度のストレスに自分をさらさないように守ることができます。

自分の限界を認める謙虚さは何よりも大切ですね。