2月の終わり頃からゴールデンウィークの時期にかけて日本列島がスギ花粉で覆われると言っても過言ではありません。私も日本で生活していた頃は、前もって耳鼻科に行き、大量に薬を処方してもらっていました。
この時期には通勤通学に向かう半数以上の人たちがマスクをして歩いているのを見かけます。人によってはゴーグルとマスクといった完全装備をするので、一見誰だか分からないこともありますよね。
毎年春の時期に悩まされる花粉症ですが、免疫とは一体どんな関係があるのでしょうか。今回はアレルギーの代表的なものである花粉症と免疫との関係について考えます。
免疫の過剰反応でアレルギーが引き起こされる
本来免疫というのは体内に入ってくるウイルスや細菌を撃退して身体の健康を守る役割を果たします。その中には健康な人でも体内に産生されるがん細胞も含まれます。
ウイルスなどと比べると花粉は身体に害を及ぼすとは思えません。しかし身体が有害物質だと誤認識して免疫が活発になります。この時に抗体が作られるのですが、これがアレルギー症状を引き起こす原因となるのです。
体内の免疫は花粉を「有害物質」とみなします。身体の免疫系は花粉を有害物質であることを記録するので一度発症すると毎年症状が引き起こされることになります。
免疫が花粉を異物とみなしてアレルギー反応が引き出されると、身体はヒスタミンという物質を作り出します。これがくしゃみや鼻水の原因となるのです。(それで花粉症の対処方法として抗ヒスタミン剤が入っている薬を服用するのです)[参考情報] wikipedia:ヒスタミン
なぜ一見無害とも言える花粉がアレルギー症状を引き起こすのでしょうか。
現代式の生活がアレルギーの要因となる
実は海外においては花粉症の歴史は長く、既に百数十年以上前から花粉症は知られていました。日本では今から約50年ほど前から花粉症が認知されています。それから年々花粉症の人口は増加している訳ですが、簡単に言うと生活を取り巻く環境が現代化したのが原因です。
ご存知のように日本は杉の木を意図的に植林する政策が採られたので山林を見ると杉の木だらけです。スギ花粉は場合によっては300キロの距離を飛散するので日本に住んでいる限り避けられません。
[関連情報] 日本人がスギ花粉症になりやすい簡単な理由
スギ花粉の物理的な要因の他に食生活の変化が挙げられます。食べる物が欧米化して肉や乳製品が中心となったことや、安価で大量消費の食製品やファストフードといった食品添加物が含まれている物の摂取も関係があります。
さらに大気汚染も原因の一つです。工場や自動車から出る排気ガスや有害物質なども花粉症を引き起こすと言われています。実際、田舎で生まれ育った人よりも都会暮らしの人のほうが花粉症にかかりやすいのは大気汚染の要因が大きいのです。
上記の点を考えると、なぜ日本で多くの人が花粉症を発症するのかが理解できます。食生活であれば自分の意志で改善することもできますが、環境に起因するものであれば避け得ない部分もあります。
現代型生活を送っていると、アレルギーの代表格である花粉症を未然に防ぐのは非常に難しいと言わざるを得ません。食生活を改善させながら、対処療法を施すのが一番簡単な方法かもしれませんね。