歯周病の症状が気になって歯科医を受診する際に行う検査には様々な方法があります。病院の施設や患者さんの症状によってどの程度の検査をするかは異なります。
いずれにしても目的は、歯周病の有無、症状の程度を見極めて適切な治療を行うための根拠となります。歯科医だけでなく患者さんも検査の意図を知っておくことは、納得して治療を受けるための助けになります。
今回は基本的に行う歯周病の検査方法を紹介してゆきましょう。
【重要】レントゲン撮影で分かること
初診の際にはレントゲン撮影を行い、歯周病の進行度合いを見極めることができます。歯周病の検査は、単に歯と歯茎の見た目の状態を測るだけでなく、歯槽骨(歯茎の中にあり歯を覆うようにして土台となる部分)への侵食状況も調べます。
歯周病が進行してゆくにつれ、歯槽骨は吸収されて溶けて消失してゆきます。これは目視だけでは到底測ることができない貴重な情報源となります。
私も初診でX線撮影をした時に保険の点数が画像診断として431点かかりました。3割負担だと1200円程度かかりますが、必要な検査なので「何でわざわざレントゲンなんか撮るの?」と思う必要はありません。
レントゲン撮影した結果、前歯二本をつなげて差し歯にしている部分の土台、つまり右側の歯槽膿漏が進んでおり、歯の土台の部分が消失しており、ちょろっと根っこだけになっていたのには驚きました。
歯周病で確認すべきは「歯槽骨の吸収度合い」です。
歯周ポケットの深さを測り、進行度合いを確かめる
歯周病がどれほど進んでいるかを確かめるのに有効な方法の一つとして、ポケットプローブを使って歯周ポケットの深さを調べます。器具の特徴として、金属製のもので先が細くなっており、歯と歯茎の間に入り込むようになっています。目盛が付いているのは深さを測定するためです。
健康な人でも歯と歯茎の隙間は空いており、約1~2ミリ程度入ります。ポケットプローブが入る深さ3mmが歯周病との境になります。もし5mm以上入るようであれば既に歯槽骨が吸収され始めています。それ以上深いならば重度の歯周病であることが分かります。
いずれにしても治療対象になります。
ポケットプローブを使った検査は歯周ポケットの深さを測るだけでなく、痛みがないか、出血の有無も含めて調べます。歯肉が健康であれば血も出ませんし、痛みもほとんど感じません。
プラーク染色でブラッシングの弱点を見極める
歯周病は普段のブラッシングがどれだけ上手にできているかに関わっていると言っても過言ではありません。ブラッシングは一つの習慣でもあるので、どうしても無意識のうちに磨き残しの癖が出てしまうことがあります。
磨き残しの部分に歯垢が溜まってゆくのです。次第に歯周ポケットが深くなり細菌が増殖して歯周病が広がってゆきます。
プラークに反応する特殊な染料を歯に塗ると、あら不思議。磨き残しになっている部分→→プラークが付着している部分に色が出てきます。普段の歯磨きの弱点を見極めつつ、ブラッシング指導をする上での材料となります。
その他の検査方法
他にもピンセットを使った歯の動揺度を調べたり噛み合わせを見ることもあります。さらには唾液の成分を調べたりプラークの歯周病菌を調べる方法もあります。
歯周病の検査にあたり、どの程度の方法を実施するかは歯科医における設備や、現段階の歯周病の程度、自己負担で行う検査も積極的に採用するかなどにもよります。
しかし先に挙げた3つの検査方法は一般的にどの歯科医でも採用している方法なので、まずはこれらを行うことになると思います。歯周病の程度によってはX線検査も必要になることも覚えておきましょう。