子どもの頃「コーラを飲むと歯が溶けるよ」と言われて驚いた経験があるでしょうか。
今から30年ほど前だと清涼飲料水の選択肢はあまりなかったので、子どもたちにとってコーラはジュースの代表格でした(よね?)当時は大人がコーラの飲み過ぎを戒めるために言っているくらいにしか感じませんでした。
しかし実際にはコーラを含む酸性の飲み物には歯を溶かす原因があるようです。
今回はその理由について詳しく解説しましょう。
ph値5.5を境として酸蝕(歯が溶ける)が始まる
口の中は常にph値7程度の状態にありますが、食べ物を摂取すると口の中は酸性の状態に変わります。同時に口腔内の唾液が中性に戻す役割(再石灰化)があり、歯の表面を守る機能が働きます。
食べ物の中にはレモンといった特に酸性の強いものがあります。しかしレモンを直接食べる機会はあまりないので心配いりません。加えて柑橘系の果物・酸っぱい物は一般的にph値が低いです。
それより気をつけたいのが、普段飲む機会の多い炭酸飲料を含めた清涼飲料水です。スポーツドリンクをはじめとした清涼飲料水はph値4.0以下のものが多く、酸蝕(さんしょく:歯が溶ける)の原因になり得ます。特にコーラはph値2台のため、注目されやすいのです。
他にはレモンや梅、酢などを使った飲料も同様です。特に夏の時期にサッパリした物を飲みたくなるので注意が必要です。
昔は酸を使う工場で働いている方の歯が溶ける、いわゆる職業病とも言われていました。しかし現在は清涼飲料水を飲むことによる酸蝕が多く見られるので、誰もが注意しなくてはなりません。
コーラは飲まないほうが良い?
多くの方が気になるのが「コーラは飲まないほうが良い?」という疑問です。この点に関してコーラの代表とも言えるコカ・コーラ社が直接質問に答えています。
コカ・コーラに限らず一般的に清涼飲料には酸味料が含まれています。そして、歯や骨の成分であるカルシウムやマグネシウムは、酸に溶ける性質を持っています。よって、清涼飲料、果汁などの酸を含む液体に、抜けた歯や魚の骨を長い間つけておくと、含まれるカルシウムやマグネシウムが溶けます。しかし、飲みものですので人間の骨に直接ふれたり、歯に長い間くっついていることはありません。安心してお飲みください。
「コカ・コーラ社お客様相談室:よくあるご質問」より抜粋
コカ・コーラ社の回答から分かるように『コーラを飲む=歯が溶ける』ということではないようです。しかし、同時に認めているように酸を含んだ飲料が口の中に残っていると酸蝕も始まるということですね。
そこで、飲み方に注意をする必要があります。
酸性の強い飲料を飲む際の注意点
コーラを始めとする酸性の飲み物を飲んだら、できるだけ口の中に残らないようにしましょう。軽くお茶や水を飲んだり口をゆすぐことで洗い流すことができます。
時間をかけてチョビ飲みをするのはおすすめしません。チョビ飲みをすると口の中に酸が残りますし、再石灰化を阻害するので歯にとってはダメージになりやすいのです。
歯は酸に触れると軟らかくなる性質があるので、少し時間をおいてから歯を磨くと良いでしょう。歯磨きをする時も表面をゴシゴシと強く磨くのではなく、歯間や歯茎との境の汚れを取る目的でブラッシングしましょう。
一番やってはいけないのが、酸性の飲み物を飲んでから歯磨きもせず寝てしまうことです。ジュースを飲んで寝てしまう人は少ないと思いますが、ワインも酸性の飲み物なので、飲酒時は特に気をつけましょう。
いずれにしても飲む量や頻度も「ほどほどに」することが大切ですね。