女性の歯科医

歯周病や虫歯であれ、別の理由で歯を失ったとしても、欠損部分を埋め合わせる治療が必要です。治療により、周辺の歯のバランスも保つことができ、同時に審美性も維持できます。

もちろん入れ歯やブリッジという選択肢もありますが、今回はインプラントに注目してみたいと思います。それぞれメリットとデメリットを挙げてみるので参考にしてください。

インプラント治療のメリット

最大のメリットは健康な歯に近い形で食べ物を噛む感覚を得られることです。ブリッジの場合は両側に橋をかけるようにするだけなので、自分の歯で噛んでいる感覚はありません。

インプラント治療をした歯だと健康な歯の八割程度の感覚を得られると言われています。ブリッジと違って両側の健康な歯を削る必要もないので、1本のみのピンポイントでの治療が可能です。

本物に限りなく近い形で歯を作成して根元に埋め込むので、見た目はかなりきれいに仕上がります。特に若い方で前歯の治療が必要な方には審美性の観点からインプラントを選択する大きな理由の一つになります。

簡単にまとめると・・元々持っていた歯の機能や外観を最大限に回復させる方法がインプラントなのです。しかしデメリットがないわけではありません。

次に考えてみましょう。

インプラント治療のデメリット

インプラント治療の最大のデメリットは費用の高さです。

前歯を例にして挙げてみると、前歯のブリッジ治療の場合は型取りと装着-費用は二万円程度になります。しかしインプラントの場合は一本の相場が40万円前後です。

「高い・・」と思わなかった方はインプラント向きかもしれません。なぜこれほど金額に差があるかというと、インプラントはいわゆる「自由診療」だからです。

しかしインプラントにかかった費用は確定申告の際に医療費控除として計上することができるので、所得が多い方にとっては選択肢の一つとなるでしょう。(条件があります)

しかし多くの方が費用の面でのハードルの高さに断念されると思います。

別の点を挙げてみましょう。

インプラントを入れるには外科治療が必要になります。骨の部分に人工物を埋め込むので、医師は万全を期して望みますが、医師の手技、患者さんの体調などにより問題が起こらないわけではありません。

中には医療事故になったり、感染症にかかる場合もあります。結果、長い時間をかけて生じた別の問題を解決しなくてはなりません。インプラント治療を実施している歯科の中で腕が良く信頼できる医師を見つけるのは必須ですが、手間もかかります。

費用の面から見ても分かるように、インプラントの治療はいわゆる高度医療の一部です。治療そのものにもかなり時間がかかり、最低でも三ヶ月、場合によっては半年ほどの時間を要します。(私はこれで断念した)

インプラントができない人のタイプ

一方、インプラント治療を行いたいとしても、できない人もいます。

重度の糖尿病の方や肝疾患にかかっている方は治療ができません。インプラントはあごの骨にチタンの歯根を埋める外科治療なので、骨量が十分にない方や、チタンアレルギーの方も同様です。

インプラント自体は植え付けて終わりというわけではありません。健康な歯やブリッジ以上にメンテナンスが必要になります。それで現在重度の歯周病がある方や、普段の口腔ケアが不十分な方も向いていません。

他にも生活習慣が関係するものとして、喫煙者やアルコール依存症の方も免疫系が低い傾向があり、健康な方と比べて成功率が低いので、治療は難しいでしょう。まずは禁煙をして健康な身体を形作りましょう。

デメリットを幾つか考えて理解できたのは「単に金銭的に余裕があるから治療ができるわけではない」という点です。治療するのは一本の歯ですが、身体全体が関係しているのです。

患者さん一人ひとりのライフスタイルに基づいて決めるのがよい

インプラント治療のメリット/デメリットを比較して考えると、必ずしもインプラント自体が最善の選択肢というわけではありません。なぜなら患者さん一人ひとりの年齢や健康、そして経済状況は異なるからです。

ご自身のライフプランに合わせて決めるのがベストの選択肢です。治療の目的は「できるだけ快適に、なおかつ健康的な生活を送る」ことなので、生活全体を考えつつ決定するようにしたいものですね。