歯科医による説明

歯医者さんにかかる人って男性と女性のどちらが多いのでしょうか?(時間帯にもよりますが、女性の方が多く感じるのは私だけでしょうか・・)

恐らく考えたこともない疑問かもしれません。実は虫歯や歯周病には男女の性差があるのをご存じでしょうか。これを知っておくだけで自分の大体の傾向が分かるので、効果的な歯周病の予防につなげることができるのです。

では、まず女性の傾向から考えてみましょう。

女性が虫歯や歯周病になりやすい理由

これには十分な科学的根拠があります。

女性は男性と比べて口内の唾液の分泌量が少ないのが特徴です。これは思春期から老年期に至る全ての期間において一致するデータです。

原因としては、男性と女性の身体の構造の違いにあります。女性は男性と比べて唾液腺が大きくないので、自然と口内に分泌できる唾液の量が少なくなるのです。女性の多くの方が「口が乾く」と感じる理由はこの点にあります。

口腔内の健康における唾液の役割とは何でしょうか?

唾液は食事の際に生じた口内の酸性化を防ぎ、再石灰化を促すはたらきがあります。唾液の量が少ないと口内が酸化しやすくなるので虫歯になりやすくなります。加えて唾液の持っている歯周病菌を抑制する作用がはたらきずらくなるので、歯周病にかかりやすくなるのです。

なおかつ中年期以降の女性は、女性ホルモンのバランスが大きく変わる時期でもあります。その影響で唾液の分泌量が減り、いわゆるドライマウスの症状が出ることもあります。

別の理由は歯の構造です。

女性の歯は男性の歯と比べて表面の硬さがないのと、内側に覆われている層がさほど厚くないので、虫歯が進行しやすい環境にあります。夫婦で同じようなライフスタイルを送っていても妻の側の方が虫歯になりやすいわけですね。

上記の点を意識するだけで、日頃の歯のケアをきちんとしようとする気持ちになるのではないでしょうか。確かに女性の方が虫歯になりやすいですが、日頃の十分なケアがあれば虫歯は防ぐことができるものです。

次は男性の側の問題点です。

男性の虫歯が重症化しやすい理由

男性の場合は女性と違って身体的構造は虫歯になりにくい状態です。しかし男性の方が概して虫歯が重症化しやすい傾向にあります。一体なぜなのでしょうか?

その理由は自己過信にあると言えます。

一般的に男性の方が「このぐらいだったら大丈夫」とは「仕事が忙しいから」と言って少々の虫歯は後回しにしがちです。確かに平日仕事をしていると、就業後か週末しか歯医者に行けませんよね。(多くの歯科は日曜日は休み)

特に夕方の18時以降や土曜日は、退社後の時間を狙ってくる会社勤めの方が多いので、予約時間に行っても余分に待たされたりと何かと面倒ですよね。

「面倒だからいいや」と歯医者をサボりつつあるうちに重症化してしまうのです。男性の方が「歯が痛くてどうしようもない」状態になって初めて真面目に歯科にかかる割合が多いわけです。(時既に遅しですが・・)

◆仕事内容によっても虫歯にかかりやすい場合がある

運輸業(特に長距離ドライバー)の就業率は圧倒的に男性の方が多く、口腔ケアが行いづらい環境にあります。職場環境も虫歯にかかって重症化しやすくなる土壌が存在するようです。

[参照] 歯周病になりやすいタイプの職業の人とは?

解決策としては、会社の定期的な歯科検診の際に虫歯が見つかったら速やかに受診することです。虫歯は進行すればするほど治療に多くの時間と費用がかかり面倒なことになります。「健康のための投資」だと思って歯科に足を運びましょう。

ぜひ初期段階で治したいものですね。

まとめとして

確かに虫歯には男女差がありますが、それぞれ自分の特徴をしっかり捉えつつ虫歯予防に努めれば防げるものです。ぜひ予防の観点で歯のケアをすることにしましょう。