説明する看護師

女性は男性に比べると歯周病にかかりやすいと言われています。

唾液の分泌量が男性と比べて少ないのに加えて、一生を通じて女性ホルモンによる身体の変化を経験するからです。しかし女性だからといって必ずしも歯周病にかかるわけではありません。

女性ホルモンの変化に応じて適切なケアを行ってゆけば、歯周病にかかるリスクを最小限に抑えることができます。今回は女性ホルモンによる変化と、歯周病ケアの注意点について詳しく解説しましょう。

思春期-ストレス管理と間食に注意

思春期は女性にとって初めての大きな変化を経験する時です。

月経が始まると、生理周期のたびに歯茎が炎症を起こしやすくなります。これを思春期性歯肉炎と呼びます。理由はホルモンバランスの変化にありますが、本当の原因は元々存在している歯肉炎の悪化によります。

普段の歯のケアを十分に行うことと、間食を上手にコントロールさせることが必要です。しかし自分できちんと管理するのは難しい場合があるので、保護者による助けが必須になります。

特に試験前後の時期や受験を控えていると、無理をして疲れすぎたり睡眠不足になりがちです。免疫が落ちるとホルモンのサイクルと相まって歯肉炎を引き起こしやすくなります。

思春期のときは、本人もまだ十分に身体のサイクルと体調との因果関係を十分につかめていない場合が少なくありません。保護者、特に母親が良いコミュニケーションを図りながら体調を管理できるよう助けましょう。

妊娠期-女性ホルモンの増加とつわりが影響する

妊娠すると女性ホルモンが増加してゆくので歯周病にかかりやすくなります。なぜなら歯周病菌は女性ホルモンを取り入れて増えてゆくからです。しかしこの場合も元々存在している菌が原因であり、女性ホルモンが歯周病菌の増幅に影響を与えているに過ぎません。

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特につわりがひどい時期には、歯ブラシを口に入れるのも嫌になることがあるようです。そうなると口腔ケアが十分にできなくなり、歯周病の原因となります。

もし可能ならば、妊娠する前に歯科医を受診して、虫歯や歯周病をきちんと治しておくのがベストでしょう。歯磨きがしづらい時期にはキシリトールガムを噛むなどして唾液の分泌を十分に確保するのも有効です。

歯周病は出産時のリスクを引き上げることが統計の結果によっても明らかなので、もし歯周病が心配ならば歯科医で速やかに受診することをおすすめします。妊娠中のどの時期で治療を始めるかは歯科医との相談の上で決定します。

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いずれにしても母子ともに大切な時期なので、十分なケアを行うようにしたいものです。

更年期-ドライマウスに注意

更年期の時期になると口の中の唾液の分泌量が低下してゆきます。口内の唾液が減ると、細菌を抑制しづらくなるので虫歯や歯周病の原因となります。

ドライマウスの原因は様々で、場合によってはシェーグレン症候群の可能性もあります。もし口の中の乾燥がひどいようであれば医療機関の受診を検討する必要もあります。

[関連情報] 口が乾くのはドライマウス?シェーグレン症候群の可能性も

もし原因が更年期のみであれば、日常の口腔ケアで唾液の分泌を意識的に促すことができます。食事の際には十分に噛むように心がけること、キシリトールガムを噛んだり唾液の分泌を促すツボを押すなどあります。

なお、喫煙の習慣があるなら、速やかに禁煙をしましょう。[禁煙についてはこちら]

特に中高年の方は「歳だから」とあきらめないで、できることを行ってゆけば更年期の時期も歯周病にかかるリスクを減らすことができます。

この時期に歯周病を抑制できるかによって、老年期にどれだけ歯を残せるか、健康的な生活を送れるかが関係するのでとても大切です。