歯周病の治療でもジスロマックを使えるのをご存じでしょうか。
ジスロマックといえば、クラミジアなどの性病の治療で広く知られています。しかしジスロマック自体は抗生物質なので、実は様々な感染症に使われており、歯周病の治療にも用いられてるのです。
今回は歯周病治療でジスロマックを用いられている理由を解説したいと思います。
歯周病の原因菌に直接作用する
歯周病というのはプラークの中にいる細菌が炎症を引き起こします。ジスロマックの大きな特徴の一つは、原因菌に直接作用することです。薬を飲んだ後、体内の細菌が集まっている病巣に移動してとどまってくれるので、効率的に細菌を退治してくれます。(ファゴサイトデリバリー)
局所作用のおかげで薬自体は身体の全体に広がらないので、副作用が少ないとも言われています。なおかつ必要な箇所のみのとどまるので、薬が長く効くというのも特徴です。
歯垢が付着すると、通常のブラッシングでは落とすことができないので歯周病が進行しやすい環境になります。しかし、ジスロマックは歯垢の内部にまで効果が浸透して細菌を攻撃してくれます。
一日一回、合計3日間の服用のみで一週間ほど効果が持続するので、薬の飲み忘れを防ぐことができます。忙しい方でも飲みやすいので広く用いられています。
◆ジスロマックの使用について
歯周病にも程度があり、単に軽い炎症を引き起こしている場合には消炎剤や洗口液、塗り薬などを用いることができます。しかし歯周病の症状がひどい場合はジスロマックを服用することがあります。医師の判断によります。
副作用について
副作用の多くは胃腸に関するものが多いという報告があります。服用後、腸が動くので下痢になることがありますが、他の抗生物質に見られる腸内環境への負担とは異なります。
もし症状がひどいようであれば医師に速やかに相談する必要はありますが、何日も続くものではなさそうです。
ごくまれに見られる副作用としては、重篤な肝臓障害があげられます。一見心配に思えますが、確率は非常に低いので、副作用を理由として服用を控える必要は非常に少ないでしょう。(医師との相談の上処方してもらってください)
肝障害や心疾患、抗生物質によりアレルギーを発症したことのある方は、事前に医師に知らせる必要があります。
歯石の治療やプラークコントロールは依然として必要
ジスロマックの服用による歯周病治療は、いわゆる歯科内科の部類に属します。もちろん抗生物質と原因菌の属性がぴったり合えば劇的な効果を発揮することができます。
しかし抗生物質だけに頼るわけにはゆきません。歯周病はそもそも歯石(プラーク)が原因なので、歯石を残したままだったり、普段の口腔ケアが不十分だと同じ症状が出てきてしまいます。それで治療の際も、歯石取りを十分に行った上でジスマロックを服用します。
ジスロマックなどの抗生物質は耐性菌ができないとも言えないので、安易に薬だけに頼るのは賢明でないと言えるでしょう。やはり抗生物質は対処療法に過ぎないことを覚えておく必要があります。
もし歯医者でジスロマックを服用して歯周病が改善されたとしても、引き続きプラークコントロールに励み、今後は同様の症状が出ないように努めたいものです。